嗣希創箱の消閑

小説、落書き、二次創作、etc…。 あなたの暇潰しのお供にどうですか♪ 

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《りりかるーぷ》15

《りりかるーぷ》



 ◇◆◇◆◇

 そして、月日は流れ――
「……こうして対峙するのは、十年振り、くらいか?」
 暗い室内を淡く照らす、壁に連なる生体ポッド。そして、その羊水に浸る子ども達。
 ――ここは、俺の工房。俺の実験施設。
 そして、
「……出来れば、貴方とは二度と、戦いたく、無かった」
 対峙する、金髪黒衣の執務官――フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。
 ……ハハ。生態実験や『あの男』に関わった時点で……まあ、こうなることは覚悟してたけどね。
 俺は白衣のポケットから手を抜き――イグドラシルを顕現化。……うん。俺だって、争いたくは無かったよテスタロッサ。
 だけど――
「……さて、執務官殿。察しの通り俺を倒せば、キミの欲しい情報は手に入るだろう」
 ニヤリと。正しく悪役の如き笑みを浮かべて、告げる。
「……やっぱり、貴方は――」
「すべては、俺が、解放されるために」
 こちらに同情の眼差しを向ける彼女に、笑みを。嘲りを。
 少しでもテスタロッサの胸が痛まないよう、俺は俺に出来る、最善を尽くす。
「全部、俺のためさ。全部、自分のため」
 ……ああ、そうさ。俺のためさ、テスタロッサ。
 俺が転生する――そのメカニズムを調べるために、俺は罪無き子ども達を切り刻み、造り、壊し、改造して来たんだ。
 だから――俺を止めろ、テスタロッサ。
「……キミには、俺を裁く権利がある」
 イグドラシルを、構える。
「そして……俺には、侵入者であるキミを殺す理由が、ある」
 ふと、背を指差す。
 テスタロッサは敵である俺の指示を躊躇い無くきき――目を丸くした。
「……な、のは?」
 俺の背にある生体ポッド。そこに浮かぶのは、高町なのはの、死体。
 それは局が秘密裏に回収し、あの男に流した物だが――……ハハ。まったく、さ。これじゃあ俺、プレシアみたいじゃねーかよ。
「あ、貴方は、彼女を――」
「隙だらけだ、バカ」
 ――俺は、そして彼女と殺し合う。
「ッ!! あ、貴方はぁああああ!!」
 俺の砲撃を避け――避けたことで爆発、吹き飛んだ子ども達を目にして激昂するテスタロッサに笑みを。
 ……さあ、行くぞテスタロッサ。
「イグドラシル十式――……カートリッジ、ロード」
 ――すべては、あの男の証拠をイグドラシルに残し、この人生を終わらせるために。
「ハハ! テスタロッサ! 次はキミと恋人になるってのも悪く無いな!!」
 ――俺たちは、殺し合う。
 俺の誕生日前日――最後の日に。
 俺は、あの日までになのはが充填してくれた弾丸まで使って、彼女と――。

 ◇◆◇◆◇

 果たして、暗い天井を見上げて、笑う。
「負けたか……。ハハ……やっぱり強いな、テスタロッサ」
 そして、また、ナースコールを押す。
 高町なのはを喚ぶ――そのために。

 ◇◆◇◆◇

 ――崩れる、庭園。
 そして虚数空間に落ちる、母さん。
 わたしはそれを、見ていた。……見ているしか、無かった。
 だけど――
「へえ……これは驚いたな」
 ひび割れる床。そこにアルフに押さえられてるわたしは、見た。
「まさかプレシアが虚数空間に飲まれるんが規定事項だとはね。いや、ビックリ」
 黒い髪と瞳。管理局の武装局員と同じ甲冑。
 年は、たぶん同い年ぐらいの男の子は、その長い前髪に半ば隠された瞳を細め、
「だけどまあ……関係ないな」
 呆然と見つめるわたしにウィンクを一つ。
 彼は――川平雅樹は、その手に重火器じみた武装を持って、
「……感謝しろ、テスタロッサ。今回の俺は――」
 キミの味方だ。そう言って、彼は虚数空間へと飛び降りて――

 それが、出会い。

 それが、フェイト・テスタロッサの分岐点。

 そして――
「なに? 緊張してんの?」
 ――彼と出会ってから、既に半年。
 こちらの――なのはの世界の暦で言う十二月初頭の、この日。わたしと彼は、なのはの通う学校に転入することになっていた。
「そ、それは…………うん」
 わたしは閉じていた瞳を開け、背後に立つ彼を見た。……う。どうしたって緊張に強張ってしまうわたしと違い、どこまでも余裕綽々とした面持ちの彼を見て赤面する。
 わ、わたしが変なのかな? 少し落ち込み、視線をまた教室の扉へと戻す。……この向こうにはなのはと、アリサやすずかが居る。夢にまで見た……一緒の学校。普通の、学生にわたしは「てい!」――彼にスカートをめくられた。
「お、白」
 固まる。そして何をされたかを理解し「――――ッ!?」言葉にならない悲鳴を上げた。
「な、ななな、何を……!?」
「はは! なんだ、キミにも普通に羞恥心があったんだな!」
 スカートを押さえ、真っ赤な顔をして睨むわたしに彼。どこまでもあっけらかんとした表情で言った。
「いや、ビックリ。あんなバリジャケ着てるから、俺はてっきり露出狂の気があるんだと思ってたわ」
 な……!?
「わ、わわわ、わたしは――!」
 たまらず反論しようと「さて、緊張は解けたかな?」――わたしの唇に指を当て、ウィンクを寄越して彼。
「…………ズルいなぁ」
 ため息を一つ。わたしは苦笑し、そして再び教室の扉へと視線を戻す。
「マサキは、ズルいよ……」
「そうさ。俺はズルくてエロいのさ」

 ――川平雅樹。

 九歳から十九歳までの自生を繰り返す、転生者。
 そして、だからこそ彼は母さんを助けることが出来て――それから、一緒に落ちたアリシアも、拾い上げた。
 母さんは罪を償い、病気を治すためにミッドの収容施設へと送られ――……そしてわたしは、母さんと決別する道を、選んだ。
 そして、
「うん。やっぱり聖祥は良いねぇ」
 ――それは、なのはたちと同じ道。
「? いきなり、何?」
 ――それは、友だちと笑いあう、わたしがわたしでいる、道。
 わたしのための、道。
「ブルマ、萌え~♪」
 果たして体育の時間。校庭でドッジボールをするために体操服で現れた女の子たちを見て回し、しみじみと言うマサキ。……って、ええ!?
「ま、マサキ……?」
 冷や汗を流し、彼から少し離れる。な、なんかマサキの視線が……心無しか、イヤらしい、ような?
 そして、そんなわたしに対し、
「ははは。そんなあからさまに引かないで欲しいな、テスタロッサ」
 良いかね? そう断り、マサキは人差し指を一本立て、
「ブルマってさ。正直、普通の下着よりエロくない?」
 ……………………え?
「知らないかなぁ? 体操服物ってジャンルは、大抵ブルマなんだけどさ」
 …………なんの話?
「こう、ね。ブルマ越しに、とか、ブルマをズラして、とか……あとは敢えて足首に引っ掛けたまま、とか。……しみじみ男のロマンだよねぇ」
 え~っと……?
 マサキが何を言っているのかわからず首を傾げ――だけど何故か冷や汗が止まらない面持ちのまま、わたしはとりあえず彼から一歩離れた。な、なんかマサキの目が……こ、怖い。
「うーん……俺は別にロリコン、ってワケじゃないんだけど――」
 マサキはそして、じーっとわたしを――わたしのブルマを見つめて、
「――ハァハァ。て、テスタロッサ? あ、ああ、あとでお小遣いあげるから……オジサンに、脱ぎたてのブルマをくれないかな?」
 …………?
 ……え?
「ええーっ!?」
「いや、冗談だから」
 …………。わたし、またマサキに遊ばれてる?
 果たしてドッジボール開始のホイッスルの音まで、わたしはどこまでも飄々としてるマサキを睨むのだった。

 ◇◆◇◆◇

 『前』と同じようになのはを介して管理局と接触。その後、すぐにミッドへと移住し、彼女たちの前から川平雅樹という異分子を排除。
 そしてプレシア事件の最終日に『庭園』へと単独潜入した俺は――……まあついでにプレシアとアリシアを回収し、それぞれをそれぞれの施設に送ったのだが、
「マサキ!」
 ……なんか、そのせいでテスタロッサに懐かれたらしい。
「ん?」
 休日。今日も今日とて適当に過ごそうとしていた俺のもとにお節介少女。俺が基本的に炊事洗濯、衣食住が適当なのを憂いたテスタロッサは、こうして時折現れ、世話をしてくれていた。
「またインスタントとかお弁当の箱があったんだけど……」
 エプロンに頭巾という、なんとも古風な日本人的格好でテスタロッサ。……あれだね。きっとリンディ艦長の入れ知恵だね。
 俺はジト目で睨むテスタロッサに苦笑を向け、
「それはキミが、メイドを雇うのを禁止するからだね」
 ソファーに腰掛けたまま軽く周りを見る。うん、広いリビング。川平雅樹ってのは実はお金持ちなのだ。
 ……まあ、アリサやすずか程デタラメじゃ無いけどね。
 そして、
「わ、わたしのせい……!?」
 ジュエルシード事件の後からテスタロッサの裁判終了までアースラに居たのが災いしたのか。それとも同い年の子というのが理由か……最近、テスタロッサは本当にお節介な幼馴染みといった感じである。
「そう、テスタロッサのせい。……わからないかなぁ? メイドっていうのは男の夢! 生きるのに最も重要な『萌え』要素なワケで――」
「それとこれとは関係無いよ!」
 ……まあ、テスタロッサが元気になったのは個人的に嬉しいから良いさ。
 うん。それに『前』は――
「ああ、そうだ! テスタロッサがメイドになれば良いんだ!」
 ポンと手を打ち、喜色満面。俺は「え゛……!?」と言ったきり固まった少女を見やり、
「アリサかすずか辺りに頼めばメイド服ぐらい調達出来るだろうし……うん。テスタロッサって可愛いから、メイド服似合いそう!」
 言って、想像する。……うん。やっぱりシックで基本のデザインたる黒に白のエプロンかな? それで『ご主人様~♪』って……。ゴクリ。
「か、可愛い? ――って、そうじゃなくって!」
 おっと、テスタロッサが正気に戻ったみたいだ。残念。
「え~。なんだよ~。着てくれないのかよ~」
 とりあえず駄々をこねてみる。うん。さり気なく世話好きで子供好きなテスタロッサのことだ。こうしてわざと子供っぽい仕草をすれば「……じゃ、じゃあ着たらちゃんとする?」――って、うわ。本当に、簡単に落ちやがった。
「『ちゃんと』?」
「だから、ちゃんとお掃除して洗濯して、ご飯も出来合いのものじゃないのを作って――」
 それから――……そしてテスタロッサは指折り数えるように、それこそ『そんな事まで!?』みたいなのまで『ちゃんと』に含み始めた。
「――って、待った! そ、それじゃあキミがメイドになる意味無いだろ!?」
 むしろメイド要らないじゃん!? そう思ってのツッコミにテスタロッサは、
「うん。だってわたし、メイド服を『着るだけ』だから」
 言って、にっこり。…………ははは。どうやらこの半年ばかり、テスタロッサをからかい過ぎたらしい。なんか、いつの間にか逞しい子になってやがりましたね、ちくせう。
 俺はだから、仕方無く『テスタロッサメイド化計画』を諦め、「てい!」とりあえずテスタロッサのスカートをめくって鬱憤を晴らす。
「って、スパッツ!?」
 果たして、現れたのはパンツではなく黒いスパッツで。それを見て目を丸くする俺に『どうだ!』って勝ち誇った笑みを浮かべるテスタロッサ。おそらくは何度となくスカートめくりされるもんだからアリサ辺りに助言を貰ったんだろうが、
「……スパッツ、萌え~♪」
「え……!?」
 うん。言っちゃアレだが、ロリコンじゃあるまいし、お子様パンツになんて全く興味ないのだ、俺は。だからまあ、コレは、挨拶代わりって言うか恥じらうテスタロッサの姿が萌えるからっていうか……うん。何が言いたいかと言えば、スパッツは別腹です♪
「……テスタロッサ?」
 ハァハァ。
「な、なな、なに?」
 ハァハァ。ハァハァ。
「こら、逃げるな。っと、それより……スパッツってことは、見て良いんだよな? ずっと。見てても。良・い・ん・だ・よ・なッ!?」
「――――ッ!?」
 テスタロッサは逃げ出した。
 うん。やっぱりこんな冗談にも引っかかるテスタロッサ萌え~♪
「……うん」
 本当に……『今』は、なんて、幸せなんだろうな。




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