嗣希創箱の消閑

小説、落書き、二次創作、etc…。 あなたの暇潰しのお供にどうですか♪ 

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《こなたinリリカル》5

《こなたinリリカル》




 ユーノくんは小宇宙お兄ちゃんを『天才』だと言った。

 ジュエルシードは人の強い想いによって発動した時が一番ちからを強く発揮するらしいんだけど……ただでさえ発動が不安定で暴走しやすい上に、人の『想い』っていうのが決して純粋でなく、その『願い』もまた不確定なことが多いから、本当なら人がジュエルシードを使って願いを叶えることはよっぽどのこと、なんだとか。それこそ、あの時のなのはみたいに無心で、強く、願いの形が確かでなければ普通ならそれが叶う前に暴走する筈、らしい。

 だけど小宇宙お兄ちゃんはそんな常識を呆気ないぐらい簡単に壊して見せた。

 真実、『それ』を使う度に暴走の危険や命の危機を伴うというのに……お兄ちゃんは代償が寿命と勘違いしていながら、簡単に、同化してる『ジュエルシード』を使って様々な物を具現化させていた。

 だから、ユーノくんはその才能を『天才』と称し、

 だから、なのはは……お兄ちゃんはもう手遅れなんだなぁって遠い目をしました。

 そして、

「――な、なんで私は行っちゃ駄目なのさ!?」

 とある休日。なのはと恭也お兄ちゃんとがすずかちゃん家に行くと知った小宇宙お兄ちゃんが愕然とした面持ちで叫びました。って、そりゃあ……ねえ?

 なのはは苦笑し、隣でため息を吐いてるお兄ちゃんと視線を合わせ、それから改めて口を開いた。

「だって、小宇宙お兄ちゃん……今日、面接でしょ?」

 たしか午後に新しいバイトの面接だって言ってたような? そう、なのはが首を傾げて言い、

「……それ以前に、お前は今日、ここに何しに来たんだ?」

 そしてお兄ちゃんが半目になって小宇宙お兄ちゃんを睨んで言い、言われた方のお兄ちゃんは何故か胸を張って言い帰しました。

「もちろん、美由希さんに勉強を教えて貰いに、だったよ! もう、おしまいだけどね☆」

「えっ、ちょっ……!? ま、まだ、教科書並べたばかりだよ、コスモ!?」

 ……余談ですが、小宇宙お兄ちゃんは入院してて正規のテストを受けられず、そしてその追試を受けたら見事に赤点だったんだとか。

 だから今日はお姉ちゃんに『追試の追試』のためにお勉強を教えて貰いに来てて――

「ってなわけで私も――」

「美由希。そこの馬鹿がもしまたテストで赤点なんかとったら……良いな?」

「っっっ!? って、なんで私に振るのっ!? て言うか恭ちゃん、『良いな?』って何するのさ!?」

 ――果たしてお兄ちゃんの間接的な脅迫で小宇宙お兄ちゃんは、泣く泣くわたし達を見送ることになったのでした。








 こなたinリリカル







「――ごめんなさい」

 それは謝罪。それは自己弁護。

 戦闘中でありながら視線を逸らした彼女に、わたしはそう小さな声で謝り――そして躊躇い無く『フォトンランサー』を放った。

 果たして、

「「――――ッ!?」」

 息を飲む。

 撃たれた彼女が。撃ったわたしが。

 いきなり射線上に飛来し、白い衣服の魔導師の楯となったその人を目にして――



「『ABSOLUTE TERROR FIELD』――略して、『A.T.フィールド』!!」



 張られた障壁。それに当たり、難なく無力化されるわたしの魔法――って、え? わたしはそして、その張られた障壁が魔法陣で無かったことに僅かに目を剥いた。

 ……魔導師じゃ、ない?

 わたしの魔法を防いだのはバリア系の魔法ではなくどう見てもシールド系のそれ。だけどその人の言葉を借りるならフィールド系であるらしく、そしてシールド系の特徴とも言える障壁として浮かび上がったそれが魔法陣ではないことからわたしは眉根を寄せた。

 ……いや、それ以前に――わたしはその人の背にある一対二枚の、紅蓮の炎で出来た翼を見て、更に思案する。……いったい、何者?

「にゃっ、にゃ~ッ!? おっ、お兄ちゃんがっ、なんでっ!?」

「ふっふっふ……。前に言ったでしょ? なのはの危機に颯爽と現れる――それが私のジャスティスだと!!」

 ……どうやら白い魔導師の子の仲間らしい。

 わたしは彼らの会話からそう判断し、そして新たに気を引き締めるとバルディッシュを手に二人へ――

「ま、なのはは封印の方をヨロ☆ ……私はこの――」

 っ!? 瞬時に彼らへと肉迫しようとして、わたしはいきなりその人の手に現れた『それ』を見て動きを止めた。

 なっ!? け、剣……!?

 『それ』は、強いて言うなれば長大な剣。それこそ十メートル近い刃渡りの、片刃の長剣だった。

「――『スピリット・オブ・ソード』で、時間を稼ぐからっ!!」

 わたしはそして、振りかぶられたその、青白く刀身輝かす剣を前に、すかさず防御の構えを取ったのだった。



 ◇◆◇◆◇



 最初は好敵手でラストでは大親友。そんなリリカル展開を期待して、私は――刃を、振り下ろす!

「阿弥陀流、超・仏蛇斬り!」

 それは狙い違わずフェイトへとぶつかり――その眼前に張られた金色の障壁にぶつかって砕けた。

 ……良し! 驚きに目を剥くフェイトを見て私は思わず内心でガッツポーズ。前に一度『武器』を具現化させた際に解ったんだけど、私の魔法は集中力次第でどんな武器でも生み出せる代わりにその強度もまた集中力に依存しているらしい。

 だから、彼女の動きを一瞬とは言え止められたのなら上々。『スピリット・オブ・ソード』なんてデカくて維持にバカみたいな集中力のいるものを使い続けてなんかいられないから、もとより目眩ましにぐらいにしか考えて無かった。

 ……いや、それにしても良かった良かった。

 私はそしてフェイトへの一撃によって多少なり衝撃を逃がした上で難なく地面へと着地し、思った。……うん、どうにか間に合ったみたいだ。

 あれから――妙にやる気になった美由希さんから『どこでもドア』を使って逃げ、その上ちゃっかり現場まで即座に移動した私は、すかさず後のヒーロー登場のシーンのために身を潜めたのだった。

 ……まぁ、まさか空中でやり合うとは思ってなかったから焦ったけどね。

 内心で冷や汗を流し、対峙するフェイトを見やる。……はは。やっぱり空戦AAAってのは伊達じゃないね。

 いつぞや、ジュエルシードを飲み込んだせい(?)で、一つだけなら妄想の具現化が難なく出来るようになった私。……そう言えば、結局まだ出て来ないんだけど――やっぱり、消化しちゃったのかな???

 ……当たり前だけど、劇中では誰もジュエルシードを食べて無かったし、とある作品内じゃ魔術を簡単に使えるようにするために宝石食べさせたりしてたし……もしかして、ジュエルシードって食べられるの? しかも食べたらパワーアップするって、どんだけ~?w

 まぁ、そんワケで『スーパー小宇宙(笑)』になった私に、いきなり二つ同時具現化なんて必殺技を出させるなんて……フェイトちゃん、恐ろしい子ッ!? ……おかげで口の中が血の味でいっぱいだよ(涙

 今さらだけど……私、飛べないからねぇ。『飛ぶ+防御=結局ダメージかよ!?』みたいな?

 ……だけどまぁ、なのはに良い所見せられたし、良いか。そう嘆息し、私はチラリと背後のなのはを――って、こら! なんでなのはったら呆としてコッチ見てんのさ!?

「――――とッ!」

 果たして、気付けたのは殆どまぐれ。なのはの視線を払おうとフェイトから注意を逸らした一瞬で彼女は私へと肉迫し、そしてその手の金色の刃持つデスサイズで私を――

「フっ――!!」

 気合一閃! 刹那の間で手の内に具現化させた刀――『舞蹴拾弐號』を、その原作張りの空気圧によって強化最速化させた居合い斬りでもって振り抜き、フェイトのそれを弾いて――

「つッ……!」

 バルディッシュとの衝突ですぐさま砕けて消えた『舞蹴拾弐號』。だけど私はその間を使って僅かに後退し、彼女が顔をまた驚愕へと変える、その一瞬を持って――

「行け! 『ファンネル』!!」

 思考を切り替え、最速の、それまた最速で妄想を具現化。六つの『フィン・ファンネル』を生み出しフェイトへと向かわせ、彼女が反応するのと同時にそれぞれはビームを――

「『フォトンランサー』!」

 おお! 今度こそ完全に先手を取れたと思えばフェイトの放った六つの魔力弾と私の放ったそれは完璧に同時で、相殺。しかも今度は、私が驚嘆し僅かながらに反応を鈍らせた、その隙を突くように――

「『アーク、セイバぁああー』ッ!」

 振り抜かれる戦斧。飛来する、金色の刃。

 それを私は空手となった両手を振りかぶり――瞬く間に具現化させた手斧二つを手に、

「『ダブルトマホーク、ブーメラン』!!」

 叫び、それをぶん投げる!



 ◇◆◇◆◇



 呆然とした。唖然としていた。

 いきなり襲いかかって来た金色の髪の女の子。黒い服と黒い斧みたいなのを持った、多分なのはと同い年ぐらいの、おそらくなのはと同じような魔法少女の、その子は今、小宇宙お兄ちゃんと戦っていた。

「すごい……」

 わたしの肩の上で、ユーノくん。なのはと同じく呆然として二人のそれを見入り、呟いた。

「……うん、すごい」

 なのはもまた呟く。……すごい。呆然と、魅入る。

「はっはっは! 当たらなければどうと言うことは――って、わひぁ!?」

 ――小宇宙お兄ちゃんが強いのは知ってた。

 初めて会った時からもう四年以上。その間に恭也お兄ちゃんを本気で怒らせたり、ふざけ半分のお父さんと道場でチャンバラさせられたりとかを見てたから、知ってた。

 普段は完全に引きこもりでインドア型のダメ人間なお兄ちゃんは、じつはスポーツ万能なんだって。体を動かすのを面倒くさがりながら、小さい頃から鍛えられてて凄く強いんだって、なのはは知ってた。

 だけど――

「……『フォトンランサー』!」

「『炎の、矢』ぁあああ!!」

 呆然とした。

 なまじ魔法少女としてなのはもそれなりに動けるようになったと思っていただけに、愕然とした。

「――――ッ!!」

「悪・即・斬! ていやーっ!!」

 金の髪の少女の強さを目の当たりにして、

 じつにイキイキとした表情でオタクネタを披露するお兄ちゃんを見て、

「敢・え・て、『メラ』!」

「――っ!?」

 次元が違う。なのはじゃ立ち入れない――そう思って、わたしはギュッと眉根を寄せて首から下げた指輪を、

「……ぁ」

 呟き、自嘲。……そっか。なのは、今はバリアジャケット着てたんだっけ。

「…………」

 ……また、見てるだけなのかな? 眼前で展開する、どう考えても今のなのはじゃ立ち入れない戦闘を前に、思う。

 なのはは、また、助けられるだけなのかな? なのはは、まだ、お兄ちゃんの手に引かれてるだけなのかな?

 フラッシュバックするのは何時かの記憶。もう理由も覚えていない、ただ不安と悲しみに涙してうずくまっていた時の思い出。

 ――やふ~♪ どったのかな~?

 もう殆ど覚えてない。経緯も結果も朧気で、何を言って何と励まされたのかも定かじゃない。

 それでも、嬉しかったことだけは鮮明に覚えてる。

 それでも、その日から時々現れてはなのはを連れ出して回る、ヘンテコなお兄ちゃんに抱いた憧れは、今も変わらず胸にある。

 だから――

「ゲふぉっ……! って、なんじゃこりゃあああ!?」

 突然、吐血したお兄ちゃんを見て、

「っ! マズい……!!」

 ユーノくんの悲鳴を聞いて、

「――――!」

 なのはは、動いた。

 今まさに、目を丸くしながらも攻撃の手を止められなかった彼女の前に、

 そして、振るわれたそれをレイジングハートを翳して、受け止める!

「あなたの目的はジュエルシード……だよね?」

 その綺麗な瞳を真っ直ぐに見つめて、問う。

「…………」

「だったら――」

 無言で返す彼女に構わず、なのはは――



「わたしの持ってるジュエルシードを全部あげるから……今日は、帰って」



 ユーノくんに念話で謝り、吐血するや気絶して倒れた小宇宙お兄ちゃんを背に、なのはは迷い無く彼女に提言した――。
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