嗣希創箱の消閑

小説、落書き、二次創作、etc…。 あなたの暇潰しのお供にどうですか♪ 

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《こなたinリリカル》4

《こなたinリリカル》




「――ていう夢を見たんだ」

 陵桜学園。教室での休み時間。

 それは私の日常のワンシーン。

「またあんたは……」

 そう呆れるかがみん。

「こなちゃんらしいね」

 そう苦笑するつかさ。

「ふふ。泉さんは本当にそういったアニメや漫画といったものがお好きなんですね」

 そしてみゆきさん。

「……いや。みゆき、こなたのはもう病気よ?」

「お、お姉ちゃん……それはちょっと」

 ……いつかは終わるって知ってた。

「ああ。恋の病ってやつだね☆」

 ……でも、

 それでも、

「ちげーよ! て言うかいい加減リアルに恋しろよ!」

 ああ、どうして――








 こなたinリリカル






 小宇宙お兄ちゃんの『それ』は魔法じゃない。

 心に思い描いたイメージを具現化するのが魔法なら、お兄ちゃんの『それ』もそうなのかも知れないけど…………違う。

 小宇宙お兄ちゃんのは願いを叶える魔法の石――ジュエルシードの力だ。なのはが『お兄ちゃんを助けて』って願って、お兄ちゃんと同化したジュエルシードのチカラ。

 だからお兄ちゃんの言う、『集中すればなんでも生み出せる』っていうのは正しくて、その代償が『寿命』や『生命力』っていうのは間違い。

 ――小宇宙お兄ちゃんの使う『それ』はジュエルシードが叶えてる。

 あの時のなのはより強く、具体的に願えば『小宇宙お兄ちゃんを助ける』という願いではなくお兄ちゃんの願う『それ』が叶えられる。

 だから……『それ』を叶えた時、小宇宙お兄ちゃんは瀕死の状態に戻る。

 それがお兄ちゃんの言う『代償』の正体で――……だけど、なのは達はそれを黙ってる。

 だって、どっちでも……普通は自重するから。『寿命』でも『生命力』でも、例え違うものでも、自分から命を削るみたいなことはしないって思ってたから……。

 なのに――

「…………はぁ」

 深く長いため息を一つ。わたしはチラリとそちらを見た。

「うげ!? なに、その引きの良さ……」

「はっはっは! 『デュエルキング』とか『真のジュエリスト』っていうのは引きたいカードを引けるのだよ!」

 小学生の男の子たちの中でただ一人高校の制服の上に翠屋のエプロンを着た小宇宙お兄ちゃんは、今日も絶好調のようだった。……っていうか、なんでいきなりカードゲームなんてしてるの?

 あれから――プールで倒れたお兄ちゃんを病院までノエルさんに運んでもらってから数日。ユーノくんの治療の甲斐もあってお兄ちゃんはすっかり良くなったらしいんだけど……。

「…………ねぇ、すずかちゃん? 人、一人養うにはどれだけ稼げば良いのかな?」

 なのはテーブルに突っ伏して手の中の求人雑誌を半目で睨む。

 今日はお父さんがオーナー兼コーチの翠屋JFCの試合をアリサちゃん、すずかちゃんと観戦して、今はそれが終わって祝勝会としてみんなで翠屋で話していた。

 ――で、なんでなのはが求人情報誌なんかを睨んでいるかと言えば、理由は当然小宇宙お兄ちゃんで……なんか、ちょっと前までやってたバイトを首になっちゃって、月末がピンチなんだとか。

 その理由が無駄に長く入院してたかららしいんだけど……一応、その理由の一端はなのはにもある――……と思うんだけど、後半のは明らかに自業自得で――……でも、それを知らないお父さんとお母さんは、なのはのために怪我したお兄ちゃんを心配して翠屋で次のバイト先が見つかるまで雇ってあげるって言って――それで、今に至ってます。

「……はぁ」

 なのは、思わずため息。……うん。やっぱり将来はなのはがしっかり稼がないとダメだよね。

 だって…………真面目に働いてるお兄ちゃんのビジョンがどうしても思い浮かばないんだもん。

「……え、えっと」

 そんななのはを前にすずかちゃんは苦笑し、手の中のユーノくんを撫でつつ言いました。

「たぶんだけど、百万円ぐらい……だと思うよ?」

 ……すずかちゃん。それは年間? それとも一月で?

 なのははまたため息を吐いて、求人情報を睨むのでした。



 ◇◆◇◆◇



「……ちょっと、何してんのよ?」

 あたしはなのは達から離れ、サッカーしてた男の子達の中心で一際はいテンションな奴――鈴木小宇宙に話しかけた。

「ん? ああ、アリサもやる?」

 対し、小学生の中でも目立たない童顔の彼は気楽に、手の中のカードをヒラヒラ振って返す。

「……やらないわよ」

 腕を組み、不機嫌顔であたし。それに『そう?』と返して、また男子達と遊び始めた彼を見て思う。……まったく、この男は!

 ――あの日。みんなでプールに行った日に知り合ったこのオタク……もといイタい男、鈴木小宇宙。

 彼の第一印象と言うか言動に、あたしは……はっきり言って、引いた。正直、気持ち悪いとすら思った。

 だから…………わからない。

 どうしてなのははこんな奴のことを? どうしてこんな奴のために要らない苦労を? そう疑問視し、そして同時に――頭に来た。

「あ、あんたねぇ!」

 もはや敬語も礼儀も無い。見た目や態度以前に人としてあたしはこの男を敬うことを完全に止め、カードゲームに興じていた彼の胸倉を掴むようにして怒鳴った。

「あんたはここでアルバイトしてるのよね!? アルバイト、させて貰ってるのよねぇ!?」

 突然のあたしの怒声に周りが『シーン』と静まり返るが、気にしない。頭に血が上ったあたしは今、そんなのは気にもならない。

「なのに何で遊んでるのよ!? 何であんたが遊んで、なのはが求人情報なんて見てんのっ!?」

 あたしは、怒る。

 この、見た目同年代の男を。親友が苦労させられるだろう駄目な男を。

 その駄目さかげんを、怒鳴る!

「あんた、もう少しまじめに――!!」

 そんなあたしに小宇宙は慌てて口を開き、

「い、いやそうは言うけどね、かがみん? 私は――」

 そしてその言葉の途中でハッとしたように口元を押さえ、顔を青ざめさせた。

 ……『かがみん』?

 果たして、そうあたしが眉根を寄せるのと、

「ぷっ……! か、『かがみん』!? 『らき☆すた』の……!?」

「くくっ……! 確かに『かがみ』ッポイかも!!」

「いわゆる『ツンデレ』ですね!? さすがコスモ兄ちゃんっ! く、くくく……!!」

 それを聞いて笑い出す周りの男子達を見て、あたしはこめかみをひくつかせた。

「……『かがみん』て誰よ?」

 低い声で、あたし。それに小宇宙は顔を伏せ、前髪で表情を隠して無言。

 代わりに周りの男の子達がゲラゲラと笑いながら言った。

 曰わく、それはマンガのキャラクターで。

 曰わく、それは怒りっぽい女の子で。

 つまりはまた、それはオタク発言で。

 要するにコイツは、この期に及んでまだあたしを馬鹿にしてて――

「あんたは――!!」

 だからあたしは怒鳴ろうとして、

 ……だけどあたしは、怒鳴れなかった。

「――……ごめんね、アリサ」

 それは悲しみの混じった謝罪。哀愁の想いが込められた声。

 小宇宙の表情はわからない。僅かに見える口元はまるで自嘲するようなに形に歪み、握られた拳は僅かに震えていて、

 そして小宇宙は顔を上げた。

「ごめん。もう、私、休憩時間終わりだから」

 それは今にも泣き出しそうな、

 それでいてそれを必死に隠そうとして笑っているような、

 そんな、歪な笑顔で小宇宙は言って――店の中に駆けて行った。

「……なによ、もうっ!」

 後にはただ、何とも言えない思いを抱いたあたし達だけが残った――。



 ◇◆◇◆◇



 ……失敗した。

 私は一人、更衣室のロッカーに手を当ててうなだれていた。……ああ、もう。どうしてアリサを――そう疑問に思いながら、ロッカーに当てた両手の震えからなんとなく内心は察せられた。

 ……今日の夢が原因かな。そう自嘲しながら、それは引き金であって込められた弾奏のすべてではないとわかっていた。

「…………笑おう」

 だから、呟く。言い聞かせる。

「私らしく、笑おう。鈴木小宇宙として、笑おう」

 ロッカーに備え付けの鏡を前に、笑う。『泉こなた』ではない、『鈴木小宇宙』の顔を、笑みへと変える。

 ……そうだよ。私が真面目に落ち込むのは『らしくない』よ。

 夢の中でかがみんも言ってたじゃん。『あんたはどうせ夢から覚めたくなかったんでしょ?』って。『ずっとその夢を見てたかったんでしょ』って。

 ……そうだよ。それが泉こなた『らしい』んだよ。

 だから、笑おう。いつもの私みたいに、笑おう。

 落ち込むのも真面目に悩むのも『らしくない』んだから……。『本当は帰りたい』なんて、そんな風に思うのは私らしくないんだから。

「……そだ。そう言えば――」

 私は思考を切り替えるためにわざと声に出してポケットに手を入れた。

 ……えっと、たしか――と、あったあった♪

 果たして取り出したのは青い石。私がわざわざ『こんな宝石、落としちゃったんだけど知らない?』って原作知識を元に声をかけて回収したロストロギア『ジュエルシード』。

 それは……そう。願いを叶える、石。

 私はだから、それを手に天井の光に翳した。『願いを叶える力がある』って知ってるからこそ、私はその石を前に思ってしまう。

「……もう一度、『あっち』に帰りたい、な」

 呟き、そして――自嘲。

 ……あは☆ なに言ってるんだろうね。

 私は自嘲を苦笑に変え、翳していたジュエルシードを――



「――ねえ、お兄ちゃん?」



 ――ポロっ♪

 そして、ゴックン☆ 私はジュエルシードを――飲み込んじゃった♪

 ……………………え~。ま、マジっすか~?(汗

「あのさ、こっちからジュエルシードの反応が――って、どうしたの?」

 果たして私は、現れたなのはを前にただただ冷や汗を流して顔を青ざめたのだった――。
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