嗣希創箱の消閑

小説、落書き、二次創作、etc…。 あなたの暇潰しのお供にどうですか♪ 

《THE SECOND LIFE》没稿1

 初稿では剣道場での士郎VSケイトの対戦がこうでした。……ま、諸々の事情で変更になりましたが(苦笑)
 ネギ……この時点では彼女、原作より体術だけは上の設定なのにアレ相手じゃ相性最悪だったり。




 ◇◆◇◆◇

 距離はだいたい三メートルと少し。獲物はボクがニメートルに迫る杖に対しケイトさんは平凡な竹刀。正眼という構えから判断した彼女の戦闘スタイルは多分剣術家か剣道のそれ。気迫や雰囲気その他から感じる実力はおおよそ普通の少女のものだろう。少なくともボクや桜咲さんみたいな裏の世界や超常的な強さは持ち合わせていないと判断。
 ……なにより魔力を感じないしね。
 腰を落とし、槍の刺突の構えを取りながら状況を分析する。ケイトさんの身長や体格から見て体力や筋力は、もしかしたらボクよりも下かも知れない。だとすれば他に何かボクを上回っている――そう彼女が思い、自信の拠り所とするものがあるハズ。
 それは技?
 それは瞬発力?
 見た目からはわからない『それ』が、きっと事前にボクの力の片鱗を目の当たりにして尚、彼女をボクに挑ませる原動力なんだ。
 ……相手の手の内がわからないっていうのは普通。相手が自分の手の内を知っているっていうのは不利だけど、それは決して敗因たりえない。
 わからないのなら確かめれば良い。わかっているのならその上を見せれば良い。
 だからボクが考えるべきは戦い方や勝ち方じゃなくて、
「――……あの〜」
 手加減のしか――
「あまり手を抜かないでいただけませんか?」

 ――ポン、と。

 目を丸くする。頭に当てられた竹刀を見て、驚愕に目を剥く。
「なっ――!?」
 ケイトさんは目の前にいた。
 目の前に居て、ただ普通に竹刀を上げて、下ろした。
 普通に。そして――いつの間にか。
 超常的な気配を一切感じさせず、それでいて相対するボクに全く気取られないように動いて見せた。
「う、うそ……!?」
 愕然とする。
 目の前でただ平然と歩き、ただ普通に竹刀を上げ、軽く下ろしただけの少女を見て言葉を無くす。
「えっと……わたしの勝ちで良いですか?」
 困ったように微笑み、首を傾げる少女が自分と格の違う相手なのだと戦慄とともに知れた。
 ……ケイトさんって一体?
 ボクはこれまでに自分なんかとは別格の、それこそ子供と大人という以上の実力差を目の当たりにしたことがある。
 だけどそんな人たちと彼女は違う。強さの質が違う。異色といっても良い。だって何をされたのかわからないんじゃなくて、“彼女が何をしたのかがわかるのに何も出来なかった”んだから。
「……なにを、したの?」
 だから、その問いは正しくない。
「? わたしはただ歩いて――あ、もしかして痛かったですか……?」
 だから、そう返した少女の言葉に嘘、偽りは無い。
 だけど――“そのすべてが嘘だった”。
 何をされたのかをわかっていて何も出来なかった――その理由を彼女は隠し、偽っている。
 だから――試して見る!
「――――!!」
 その驚嘆は誰の者か。見学者の前から瞬動でもって姿を消し――正確には視認出来ないような速度でもって駆けて、ケイトさんの背後へと回っ――
「……え?」
 ――コケた。
 ケイトさんの背後に回ろうとした際に彼女の足に躓いて。
「――っ!!」
 回転する視界。その中にあって先の行動と、この結果へと瞬時に思考を巡らせ、驚愕と同時に片手をついて着地。
 ……さっきボクはケイトさんの足があるって“わかっていて”躓いた?
 内心の疑問も考察もすべては瞬きの内で。ボクはついた片手を支点に回転し、
 即座に起き――

 ――目の前の竹刀に目を剥いた。

 っ!?
 また――
「っ!!」
 ケイトさんは振り返り様に竹刀を突き出しただけ。それこそ常人の、ちょっと剣道か何かをかじった程度の素人の動きと速度で。
 それをボクは知覚していて、“気付かなかった”。
 いや、“気付いていながら頭がそれを危険と捉えなかった”。
 つまりそれが、ケイトさんの“何をされたのかがわかっていながら避けられない攻撃”。
「君は……!?」
 混乱する。当惑する。疑問視する。その上で思考を加速させて、相手を計測する。
 ボクは突き付けられた竹刀を払い、バックジャンプ。
「きゃっ!?」
 目を丸くして姿勢を崩すケイトさんに向け、再び瞬動! 今度は後ろへと回るんじゃなくて速度を乗せた刺突で挑む!
「…………っ!」
 だけど、
 気がつけば、
 “ボクは何故か、彼女を通り過ぎていて”、
「! え、えいっ!」
 “ボクは何故か、ゆっくりと彼女を振り向いて”、
 その剣の動きを見切っていながら、
 その攻撃を見切り、かわそうと思えばかわせるのに、

 ――ポク、と。ボクは避けようとせず、ケイトさんの一撃を額に受けた。

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