《ゼロの使い魔〜雷槍の騎士〜》
○ カルディナの夢
その日もルイズの横で眠るエリオは、珍しくうなされていた。
「カ、カルディナ……それは確かに遊園地の領収書……え? ち、違うよ……女の子? ……いたけどデートじゃ…………そ、そんな……小遣い無しは酷……う、うん……次の休みに……カルディナ……」
あんまりにもあんまりな寝言に隣でたまたま聞いていた少女はとても不機嫌になったとさ。
○ カルディナの呼称
「母」
フェイトの意。後見人なのだから間違いでは無い。
「父」
エリオの意。悪い虫が付かないようにとお兄ちゃんでは無くこちらを推奨した虫使いがいたとか。
「ルー姉」
ルーテシアの意。ナンバーズたちといた時の影響かと。
「お姉ちゃん」
名前のわからない年上の女性全般。もしくはキャロの意。
「アルフ」
そのまんまアルフの意。本人が呼び捨てで良いと言ったのでそのまんま。
「お兄ちゃん」
名前のわからない年上の男性全般。もしくはクロノの意。本人は嫌がるが、嫁がそう呼ばせたとか。
「エイミィお姉ちゃん」
エイミィの意。他の『お姉ちゃん』呼称がいない場合はただの『お姉ちゃん』。
「先生」
なのはの意。三年B組のアレを見てエリオにも先生はいるかと聞いたら『なのは』と答えたので以来こうなったとか。
○ エリオのバイト
いつまでもヒモ状態というのはあまりにも情けない。そんなワケでエリオはルイズが学業に勤しむ間や食事時などは基本的に厨房で働かせてもらっていた。
しかし――
「あ、エリオ様。シャンパンのおかわりをお願い出来ますか?」
「エリオ様。こちらはワインのロゼを」
「エリオ様〜」
給仕服で働く青年に女生徒の注文は殺到。エリオはせかせかと自分が役に立っているのが嬉しいのか微笑をたたえて働き、そしてそれを皆がうっとりと眺めていた。
「……いっそそっち系の店で働かせたら?」
「……客に持ち帰られそうだから嫌よ」
ルイズとモンモランシーはそれをため息を吐いて今日も眺めていた。
○ コロシアム
いっそ賭け試合で儲けたら良い。
そんな理由でやって来ました城下町。その裏路地の怪しいお店。
「……い、いや、流石に自衛以外の理由で魔法を使うワケには――」
「あ、コレ被って」
冷や汗を流すエリオにルイズは予め持って着ていたマスクを渡した。
「…………虎?」
「顔隠して素手で倒せば問題無いでしょう?」
そんなワケでその日、非公式賭け試合に伝説の覆面ファイターが誕生したとかいないとか。
○ カルディナと桃太郎
「父。読みました」
娘の情操教育のために少女の住まうハラオウン家にて昔話を買い与えたエリオ。
「どうだった?」
「まず『どう』という問いの範囲を――」
「カルディナは本を読む時、登場人物になって読んだりする?」
「否定」
カルディナはエリオの言葉に数秒で読み終えた本をまじまじと見た。
「父。そうして読んだ方が良いのでしょう?」
「うん。例えば桃太郎は強くて優しい主人公だから――」
「では『父』と」
カルディナの頭の中で桃太郎はエリオになった。
「ぇ、あ。じゃ、じゃあ、犬は――」
「『アルフ』」
カルディナの頭の中でエリオにきび団子を貰うアルフの図が浮かんだ。
「キジはフリード」
バッサバッサと羽ばたく飛竜が一行に加わった。
「…………さ、猿は?」
「晶お姉ちゃん」
「……誰?」
「ではスバルお姉ちゃんで」
エリオ、アルフ、フリードの部隊にスバルが加わった。
青年は頭をひねりつつ最後に『鬼は?』と尋ねた。
「先生」
※先生=なのはの意。
「……………………」
エリオの頭の中に仁王立つ白い魔王の映像が浮かんだ。
……勝てないよ、桃太郎。
○ カルディナとシンデレラ
エリオの買い与えた昔話の絵本を手に、カルディナは今度は自分を主人公として物語を進めることにした。
「ほらほら、カルディナちゃん! ここがこんなに汚れていますわよ!」
窓の冊子にツゥーと人差し指を滑らせてリンディ。
「さぁさ、今日は楽しい舞踏会よ! あ、でもカルディナちゃんはお留守番ね! しっかり掃除しなさい!」
とても楽しそうにエイミィ。
「そ、そんな。母さんもエイミィもちょっと……」
とてもオロオロしつつフェイト。それを呆れたように見るエイミィ。
「ほら、フェイトちゃんも役になりきって! 自分がやられて悲しかったことをここでは敢えてするのよ!」
「で、でも……」
「フェイト。これも情操教育のため。ここは敢えて心を鬼にするべきよ」
意地悪な義母役のリンディまで加わりフェイトを説得。そしてそれに渋々頷くフェイト。
「ご、ごめんね、カルディナ……」
そう言ったフェイトはとてもとても悲しそうな顔をして――
「母。何故、カルディナは両手を拘束されているのでしょう?」
「自分がされて悲しかったこと……それを人にするなんて……」
フェイト、聞いちゃいない。
「母。その手の鞭をどうするのでしょう?」
「これも情操教育のため……きっとプレシア母さんも私を思って……」
フェイト、やっぱり聞いちゃいない。
そして――
「……………………配役を変更」
カルディナは自分の想像を振り払うように若干血の気が失せた顔を左右に振った。
○ カルディナの夢
その日もルイズの横で眠るエリオは、珍しくうなされていた。
「カ、カルディナ……それは確かに遊園地の領収書……え? ち、違うよ……女の子? ……いたけどデートじゃ…………そ、そんな……小遣い無しは酷……う、うん……次の休みに……カルディナ……」
あんまりにもあんまりな寝言に隣でたまたま聞いていた少女はとても不機嫌になったとさ。
○ カルディナの呼称
「母」
フェイトの意。後見人なのだから間違いでは無い。
「父」
エリオの意。悪い虫が付かないようにとお兄ちゃんでは無くこちらを推奨した虫使いがいたとか。
「ルー姉」
ルーテシアの意。ナンバーズたちといた時の影響かと。
「お姉ちゃん」
名前のわからない年上の女性全般。もしくはキャロの意。
「アルフ」
そのまんまアルフの意。本人が呼び捨てで良いと言ったのでそのまんま。
「お兄ちゃん」
名前のわからない年上の男性全般。もしくはクロノの意。本人は嫌がるが、嫁がそう呼ばせたとか。
「エイミィお姉ちゃん」
エイミィの意。他の『お姉ちゃん』呼称がいない場合はただの『お姉ちゃん』。
「先生」
なのはの意。三年B組のアレを見てエリオにも先生はいるかと聞いたら『なのは』と答えたので以来こうなったとか。
○ エリオのバイト
いつまでもヒモ状態というのはあまりにも情けない。そんなワケでエリオはルイズが学業に勤しむ間や食事時などは基本的に厨房で働かせてもらっていた。
しかし――
「あ、エリオ様。シャンパンのおかわりをお願い出来ますか?」
「エリオ様。こちらはワインのロゼを」
「エリオ様〜」
給仕服で働く青年に女生徒の注文は殺到。エリオはせかせかと自分が役に立っているのが嬉しいのか微笑をたたえて働き、そしてそれを皆がうっとりと眺めていた。
「……いっそそっち系の店で働かせたら?」
「……客に持ち帰られそうだから嫌よ」
ルイズとモンモランシーはそれをため息を吐いて今日も眺めていた。
○ コロシアム
いっそ賭け試合で儲けたら良い。
そんな理由でやって来ました城下町。その裏路地の怪しいお店。
「……い、いや、流石に自衛以外の理由で魔法を使うワケには――」
「あ、コレ被って」
冷や汗を流すエリオにルイズは予め持って着ていたマスクを渡した。
「…………虎?」
「顔隠して素手で倒せば問題無いでしょう?」
そんなワケでその日、非公式賭け試合に伝説の覆面ファイターが誕生したとかいないとか。
○ カルディナと桃太郎
「父。読みました」
娘の情操教育のために少女の住まうハラオウン家にて昔話を買い与えたエリオ。
「どうだった?」
「まず『どう』という問いの範囲を――」
「カルディナは本を読む時、登場人物になって読んだりする?」
「否定」
カルディナはエリオの言葉に数秒で読み終えた本をまじまじと見た。
「父。そうして読んだ方が良いのでしょう?」
「うん。例えば桃太郎は強くて優しい主人公だから――」
「では『父』と」
カルディナの頭の中で桃太郎はエリオになった。
「ぇ、あ。じゃ、じゃあ、犬は――」
「『アルフ』」
カルディナの頭の中でエリオにきび団子を貰うアルフの図が浮かんだ。
「キジはフリード」
バッサバッサと羽ばたく飛竜が一行に加わった。
「…………さ、猿は?」
「晶お姉ちゃん」
「……誰?」
「ではスバルお姉ちゃんで」
エリオ、アルフ、フリードの部隊にスバルが加わった。
青年は頭をひねりつつ最後に『鬼は?』と尋ねた。
「先生」
※先生=なのはの意。
「……………………」
エリオの頭の中に仁王立つ白い魔王の映像が浮かんだ。
……勝てないよ、桃太郎。
○ カルディナとシンデレラ
エリオの買い与えた昔話の絵本を手に、カルディナは今度は自分を主人公として物語を進めることにした。
「ほらほら、カルディナちゃん! ここがこんなに汚れていますわよ!」
窓の冊子にツゥーと人差し指を滑らせてリンディ。
「さぁさ、今日は楽しい舞踏会よ! あ、でもカルディナちゃんはお留守番ね! しっかり掃除しなさい!」
とても楽しそうにエイミィ。
「そ、そんな。母さんもエイミィもちょっと……」
とてもオロオロしつつフェイト。それを呆れたように見るエイミィ。
「ほら、フェイトちゃんも役になりきって! 自分がやられて悲しかったことをここでは敢えてするのよ!」
「で、でも……」
「フェイト。これも情操教育のため。ここは敢えて心を鬼にするべきよ」
意地悪な義母役のリンディまで加わりフェイトを説得。そしてそれに渋々頷くフェイト。
「ご、ごめんね、カルディナ……」
そう言ったフェイトはとてもとても悲しそうな顔をして――
「母。何故、カルディナは両手を拘束されているのでしょう?」
「自分がされて悲しかったこと……それを人にするなんて……」
フェイト、聞いちゃいない。
「母。その手の鞭をどうするのでしょう?」
「これも情操教育のため……きっとプレシア母さんも私を思って……」
フェイト、やっぱり聞いちゃいない。
そして――
「……………………配役を変更」
カルディナは自分の想像を振り払うように若干血の気が失せた顔を左右に振った。






